06月
12
2012

【特集10】不注意で設備機器を損壊する社員

問題社員への対応(10)(不注意で設備機器を損壊する社員)

 不注意で高額な設備機器の操作を誤り、損壊したり、また営業社で外勤時に会社の車両をぶつけてしまう社員がいます。このような社員に対してはどのような対応が必要でしょうか。
1.懲戒処分
(1)懲戒規定の明示
   まず、そのような行為があってはならないことを明確にするために、就業規則の懲
戒関連規定に、「故意または重大な過失により、什器備品、機械器具その他会社の施設
物品を損傷または紛失し、もしくは取り扱いをおろそかにしたとき」などと規定して
します。採用時には社員が守る服務規律として必ず説明をします。程度にもよります
が「軽微な過失」について懲戒処分とするのは少し重い処分と考えられますが、懲戒
処分する場合は「譴責程度」に留めることが妥当です。
(2)ルールの明確化
   社内の規定やマニュアルに違反した職務行動が原因となる場合や居眠りなどは、重大な過失と考えられます。しかし重大な過失というためには、設備機器の取り扱いルールを明確にし、マニュアルなどで明文化することが必要です。また、マニュアル等に基づいて指導をしっかりと行うことも必要です。マニュアルはあるけれど誰も見ないし新人に対して説明もしていないという状態では、社員の過失を一方的に認定することは難しいと考えられますので注意してください。
   そして損壊に至った原因を明確にし、その内容を懲戒規定にあてはめ、適切な処分を下します。
2.損害賠償の請求
  懲戒処分とは別に修理費を負担させることは可能でしょうか。
  社員は雇用契約上当然に医院の指示に従って業務を誠実に遂行する義務を負っています。注意散漫であったりルールを守らない行為は誠実な業務遂行とは言えません。そのような行為が原因で医院に損害を与えた場合は雇用契約上の「債務不履行」を理由とする損害賠償を請求することができます。
  ただし損害額を全額負担させることは原則できません。使用者と社員との間での損害 
 の公平な負担という見地から検討する必要があります。
(1)軽微な過失
軽微な過失については一般的には会社は社員に対し損害賠償請求権を行使できないとされています。(名古屋地裁昭62.7.27判決)
(2)重大な過失
   重大な過失の場合にも、「雇用関係における信義則および公平の見地」から一切の事情を斟酌して具体的に決すべきであるとされています。具体的な事例としては使用者と従業員の経済力、賠償の負担能力の格差が大きいこと、使用者が機械保険に加入するなどの損害負担軽減措置を講じていないことなどにかんがみ、従業員の賠償額は損害額の「4分の1程度」すべきであるとされたものがあります。
3.採用時に損害賠償額の誓約書を取ること
  以上のようなリスクを回避する目的で、採用時に誓約書を取ることが考えられます。その場合に注意することは「一律賠償額を○○円負担する」などと具体的な金額をあらかじめ決めておくことは労働基準法に違反し無効だということです。そのため、誓約書の内容は実際に損害が生じた場合に負担するという趣旨にしておくことが必要です。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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