06月
12
2012

【特集12】届け出た通勤手段と違う手段を届け出て通勤災害にあった社員

問題社員への対応(12)(届け出た通勤手段と違う手段を届け出て通勤災害にあった社員)

会社にはバス通勤と届け出ていながら、実際には駐車場を借り自家用車で通勤していたものが、出勤途中に通勤災害にあった場合に、どのように対処すべきでしょうか。
1.通勤災害の基本的な考え方
労災保険の通勤災害の対象となるかどうかは、「合理的な経路」であるかないかにより判断されることとなります。
合理的な経路とは、通常は最も近い経路となりますが、空間的には最も近くても、その経路が混雑状況、交通制限や危険な道路状態などの事情により時間的に長くなってしまったりすることがあります。したがって、通勤届けとは違う抜け道を利用した場合でも合理的な経路として判断される場合もありえます。
本題のように、会社に届け出ている手段と異なる方法で通勤した場合についても、厚生労働省は「鉄道、バス等の公共交通機関を利用し、自家用車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法は、当該労働者が平常用いているか否かにかかわらず一般的に合理的な方法と認められる。」(昭48.11.22基発644号)と説明しています。時々、「事業所に届け出ている手段と異なる方法で通勤した場合は労災の対象とはならない。」という発言を聞くことがありますが、それは誤りということとなります。  
  結論を言えば、合理的な経路であれば、会社に届け出ている手段と異なる方法で通勤した場合に交通事故にあって負傷したような場合は、労災の通勤災害に該当することとなります。
2.対応
  上記のように労災の対象となることと、会社に届け出た手段と異なる方法で通勤することが問題とならないかということは別に考えなければなりません。
(1)就業規則の整備と正しい通勤届の徹底
   届出と実態が異なっていることは一般企業や公務員にもよく見られることです。通勤災害が発生した場合に適切な対応がとれるように、服務規律、懲戒規定、給与規定など関連する規程を整備します。さらにその趣旨、内容を社員に周知するとともに、正しい届出の励行を指導することが大切です。
(2)懲戒処分
   正しい届出がされていないことが発覚した場合には、背景の程度に応じて懲戒処分を検討します。
(3)その他
   通勤途中であっても、私用のため経路から逸脱したり、中断した場合は、日常生活上必要な最小限度の行為以外は通勤災害の対象とならなくなりますので注意が必要です。
  【日常生活上必要な行為例】
   ・日用品の購入、職業能力の開発向上に役立つ教育訓練、診療、選挙権行使、家族の介護(本年の改正で追加)など

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

このページの先頭へ