06月
12
2012

【特集18】親睦会費の給与天引きを拒否する社員

問題社員への対応(18)(親睦会費の給与天引きを拒否する社員)

 社員の親睦を目的として親睦会を設立し、社員の給与から親睦会費を天引きすることはよく見られます。採用時に簡単に説明し給与から天引き処理をしたところ、社員から給与天引きに同意していないので、天引き分の返還を求められた場合は返還に応じなければならないのでしょうか。
1.親睦会
  親睦会は事業所とは別の、社員による任意団体です。会員である社員が規約を定め、会費や支出について自主的に決定し、決算も示す必要があります。
  親睦会に加入するかどうかは社員の任意になります。その設立の趣旨から社員全員が加入しているのが一般的ですが、本人が加入したくないという意思表示をすれば強制加入はさせられないこととなります。
  したがって、社員を採用した場合は親族会の趣旨、会費についてきちんと説明し、年間の活動内容、会費の給与天引きなどを了承してもらうことが必要です。
2.給与天引きの条件 - 賃金控除に関する労使協定
  会費を給与から控除するためには「法律に根拠がある」か「賃金控除に関する労使協
定」が必要です。法律の根拠がある場合とは、所得税や社会保険料などが代表的なもの
です。「賃金控除協定」によるものは、「購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の
費用、社内預金、組合費等、事理明白なもの」について認められています(昭和27.9.20 
基発675 平成11.3.31基発168)
3.本人から控除中止の申し出があった場合
  前記賃金協定が締結されている場合であっても、本人から控除中止の申し出があった
場合は実際に控除するか否かは、本人の希望や申し出による必要があります。親睦会に
加入したまま控除中止は現実的ではなく、実際には親睦会の脱退を伴うこととなると考
えれます。したがって、本人から親睦会を脱退を希望し控除中止の申し入れがあった場
合には、本人の意思に従って控除を中止しなければなりません。
4.会費の返還
  親睦会の行事に自分は参加しないので会費を返還してほしいと申し出があった場合はどうでしょうか。会費は個人別の積み立てではなく、親睦会全体の活動費にあてられるものですので、特別に規約で返還の定めがあれば別ですが、通常は返還する義務はありません。
  一方で「親睦旅行の積み立て」という趣旨で給与天引きしているような場合は、参加しない人には返還することが必要です。親睦旅行の積み立てまで親睦会費と同じ取り扱いを説明なしに続けることは、旅行に参加できない社員にとって納得しにくいものです。事業所としては全員参加が当然である(強制的参加)と考えているような事例も見られますが、子育てや業務の関係で参加できない社員もいます。返還することを認めると参加が減ってしまうと危惧する話も聞きますが、参加が減るということは、社員は親睦旅行を望んでいないという意思表示に他なりません。せっかくの行事が社員の意思に沿わないものとならないように今一度取り扱いを見直す必要もあると思われます。   
ワンポイント
 親睦会に加入すること、会費は強制徴収することを当然と考えず、以下の対応をきちんとすることが必要です。
1.親睦会の規約を作成し、予算、活動計画、決算についてきちんと報告対応すること。
2.給与天引きする場合は、賃金控除協定を締結すること
3.社員採用時に親睦会の趣旨、内容、会費の給与天引きなどについて説明し、同意を得ておくこと 
4.親睦会は全員が参加できるような行事をしっかり計画すること
5.旅行積み立てなどは参加できない人には返還することなど公平性の観点でどうあるべきか検討すること

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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