06月
12
2012

【特集19】金銭を横領・窃盗した社員

問題社員への対応19(金銭を横領・窃盗した社員)

 会社の経理を預かっている社員が現金を横領したことが発覚したような場合、どのように対応すればよいでしょうか。
1.刑事告訴
  金銭の横領や窃盗は「刑法犯」です。したがって刑事告訴するかどうかという問題が生じます。刑事告訴するかどうかは、横領・窃盗した金銭の額や頻度、横領・窃盗した金額の返済の有無などによって判断することとなるでしょう。
2.懲戒解雇処分
(1)懲戒解雇事由該当の有無
   就業規則には通常窃盗や横領の類の刑法犯は「懲戒解雇事由」として規定されている場合が多いと思われます。横領や窃盗行為は刑事罰に該当し、また、信頼関係を大きく裏切る行為となるため、通常は懲戒解雇にする場合が多いと考えられます。
   懲戒処分を決定するためには次のような事実関係を確定することが大切になります。
   ・横領・窃盗時期、回数、金額、方法、使途
   ・返済の意思の有無、返済の時期、方法など
(2)顛末書の提出   
   本人から事実関係を説明する顛末書を提出させ、事実関係を本人が認めていることを明確にします。
(3)懲戒処分の決定
   懲戒解雇とするかそれ以外の懲戒処分にとどめるのか、判断、決定します。
   判断まで時間が必要な場合は「自宅」待機を命じます。自宅待機は懲戒処分としての「出勤停止」とは異なります。「出勤停止」処分としてしまうと懲戒処分を行ったこととなり、さらに別の懲戒解雇などの処分を行えなくなりますので注意してください(一事不再理)。自宅待機中は6割の休業手当を上回る賃金の支払いが必要となります。
(4)解雇予告除外認定
   懲戒解雇の場合でも即時解雇するためには労基法90条の解雇予告手当の支払いが必要です。解雇予告手当の支払いをしたくない場合は労働基準監督署の「解雇予告除外認定申請」を行い、認定を受けることが必要です。労働基準監督署は本人にも事実確認を行いますので、認定まで通常1週間~2週間ほど時間がかかることとなります。
3.返済の誓約
  刑事告訴や懲戒処分を決定する上で、横領金等の返済がされるかされないかは大変重要になります。
まずは返済の誓約をしっかりとさせ、返済の目途を明らかにしてください。返済されない場合などは身元保証人などと調整が必要ですが、最悪の場合損害賠償請求の民事訴訟も考えておく必要があります。(本人との間では、全額弁済されれば刑事告訴はしないが、弁済が予定通り行われない場合は刑事告訴を直ちに行うというような確認をしておくとよいでしょう。)
4.退職金の支払い
  退職金規程では通常、懲戒解雇の場合は退職金を支給しない旨規定していることが多 
 いと思います。退職金規程にその旨の規定がなければ、本人から請求されれば払わなくてはならなくなりますので、規程の内容をよく確認しておいてください。
  また、規定のある場合でも裁判例では「長年の功労を抹消してしまうほどの著しい背信行為」と認められないような事案については退職金を支払うことを命じたものもありますので、この点にも十分注意してください。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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