06月
12
2012

【特集22】資格取得予定者として採用内定後不合格となった社員

問題社員への対応(22)(資格取得予定者として採用内定後不合格となった社員)

 
まれですが、新規学卒予定者を資格取得見込みで採用内定したところ、資格試験が不合格となる場合があります。この場合は採用内定を取り消すことは可能でしょうか。
1.採用内定の法的性質
採用内定の法的性質については、(1)契約締結過程説、(2)契約予約説、(3)労働契約成立 
説がありますが、大日本印刷事件(最高裁昭和54年7月20日判決)以降、新規学卒者の採用内定については、労働契約説により内定段階で既に労働契約が成立しているとする考え方が定着しています。
採否決定の段階では、採用予定者の適格性の有無に関する判定資料を企業側は十分に収集することができないことから、最終決定を留保することを認め、採用内定は企業側が解約権を留保し、かつ入社式などを就労の始期とする始期付きの労働契約であるとされています。
2.内定の取り消し
内定の取り消しは、この留保された解約権を行使することとなります。したがって、採用内定取り消し事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的にて照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当とされています。
3.内定取り消し事由
(1) 卒業できなかった場合
卒業できなかった場合は問題なく取り消し事由に該当します。

(2) 既往歴が発覚した場合
内定通知書には、「入社時の健康状態が内定当事と著しく異なり就労に耐えないときは内定を取り消す」という文言を入れる場合が多く見られます。この文言にあるように既往歴があるというだけでは即内定取り消し事由とはなりません。当該既往歴が職務にどれだけの支障が生じるかどうかで判断されることとなります。業務に支障がほとんどないようなものであれば内定取り消しは厳しいでしょう。

(3) 怪我をした場合
怪我をした場合も上記(2)既往歴の発覚と同じように考えます。

(4) 資格取得できなかった場合
職務に必要な資格を取得できなかった場合は、卒業できなかった場合と同様に考えます。契約の前提として重要な条件が欠けることとなりますので、内定取り消し事由となります。
4.実務上の対応
(1) 内定時に、資格取得できなかった場合は内定取り消しとなることをはっきりと伝えておきます。入社誓約書の中にも明記します。

(2) 無資格者として、補助職などで採用する余力がある場合は、そのことについて本人と確認し、本人が同意すれば無資格者として条件決定し契約を結びます。 

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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