06月
12
2012

【特集23】新型インフルエンザに罹患した社員

問題社員への対応(23)新型インフルエンザに罹患した社員

1.労働安全衛生法
  労働安全衛生法施行規則第61条には、「病者の就業禁止」が定められています。これによれば、「病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾患にかかった者については、その就業を禁止しなければならない」と規定されています。
  一方で、「伝染予防の措置を講じた場合は、この限りではない」と規定され、行政解釈は「法定伝染病については、伝染病予防(現在は、感染症法)」によって予防の措置がとられるから本号の対象とならない」とされています(昭24.2.10基発第158号、昭33.2.13基発第90号)。したがって、感染症法に該当する感染症であれば、労働安全衛生法上の就業規則とは取り扱わず、感染症法上の規定に委ねるということになります。
2.感染症法
  感染症法では、感染症を一類から五塁までの区分に分類しておりましたが、新たに新型インフルエンザ等感染症が追加されました。このうち一類から三類までは従来より
国が入院勧告や就業制限といった措置をとることができるとされていますが、新型インフルエンザ等感染症に罹患した場合にも同様に、国が入院勧告や就業制限といった措置をとることができることとされました。
  一類 エボラ出血熱 クリミア・コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルク熱 ラッサ熱
  二類 急性灰白髄炎 結核 ジフテリア 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) 鳥インフルエンザ(H5N1) 
   
三類 コレラ 細菌性赤痢 腸管出血性大腸菌感染症 腸チフス パラチフス
四類 鳥インフルエンザ(H5N1を除く)他
五類 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)  

新型インフルエンザ等感染症
3.インフルエンザに罹患した社員への対応 
(1)鳥インフルエンザ
   感染症法二類に分類されていますので、感染症法に基づいた就業禁止措置がとられます。この措置に基づき社員を自宅待機させた場合は、賃金又は休業手当の支払いは不要となります。
(2)通常の季節性インフルエンザ
   感染症法五類に分類されますので、感染症法に基づいた就業禁止措置はとられません。この場合に、就業規則の規定や業務命令により自宅待機させた場合は、事業所の都合による休業となり、賃金又は休業手当の支払いが必要となります。
(3)新型インフルエンザ
   4月28日、WHOにおいて、インフルエンザのパンデミック警報がフェーズ4に引き上げられたことを受けて、政府は、豚インフルエンザ(H1N1)を、感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」として位置づけました。これにより、国が、入院勧告や就業制限といった措置をとることができる感染症となりました。
   したがって、国が発生地域の企業に対して新型インフルエンザの症状の認められた従業員などの入院勧告や就業制限を行うこととなっていますから、この措置により、新型インフルエンザの感染者や感染の疑いのある従業員を自宅待機させた場合には、賃金又は休業手当の支払いは不要となります。
   国がこのような措置を講じていないにも関わらず、会社で独自に自宅待機を命じた場合は、上記通常のインフルエンザと同様に賃金又は休業手当の支払いが必要となります。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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