06月
12
2012

【特集24】退職を強要された訴える社員

問題社員への対応(24)退職を強要された訴える社員


1.退職勧奨と解雇の違い
  社員を辞めさせる方法として一般的に「退職勧奨」、「解雇」の2つの手段が考えられます。この2つの手段はどうちがうのでしょうか。
(1)退職勧奨
退職勧奨は特定の社員に対する会社からの労働契約解除の申し込みです。応じるかどうか(退職するかどうか)は社員の自由意志にまかされ、社員が合意した場合にはじめて退職となります。ポイントは「社員本人の自由意志」が担保されているという点です。社員が応じなければそれまでです。ここが解雇とは決定的に違う点です。
(2)解雇
   本人の意思に関係なく一方的に労働契約を打ち切るものです。退職勧奨のように本人の意思は問いません。ただし、解雇には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は」権利濫用として無効とされます(労働契約法16条)。さらに整理解雇の場合は次の要件を満たすことが必要であるとされています(整理解雇の4要件)。
   <人員整理の必要性 人選の合理性 解雇回避の努力 手続きの適正>
2.退職勧奨の違法性
  裁判所は、退職勧奨は合意の退職の申し込みであり、合意退職は整理解雇の4要件を
満たす必要はなく、また申し込みが突然なされたからといって違法とはならず、理由を
告げなかったとしても不当ということはできないとしています(大阪地裁平成12年9月
8日判決)。退職を強要するのではないので原則として制約がないということです。ただ
し、退職勧奨において、退職することを説得するための手段、方法が「社会的相当性を
欠く場合は、それは違法とされます。
  ○社会的相当性を欠く退職勧奨
・強迫、詐欺に類する行為があった場合
・暴力行為があった場合
・仕事を取り上げるなどの嫌がらせ行為があった場合
・退職する意思がないのに執拗に説得を繰り返す場合  など 
(2)違法な退職勧奨
   違法な退職勧奨による退職は、「無効」もしくは「取り消される」こととなります。
3.社員本人が退職を強要されたと主張する場合
  社員が退職を強要されたと主張するのは、上記のように「社会的相当性」を欠くよう
な退職勧奨を行っている可能性があります。会社にはそのような意図はなくても言い方
によって、あるいはそのときの状況によって社員には「退職を強要された」と取られる
可能性があります。
(1)強要ととられないように以下の点に十分注意して説得することが大切です。
  ・懲戒解雇にならないような事由に関し懲戒解雇などをほのめかしながら説得しない
  ・大きな声でどなったり、個室に長時間閉じ込めて説得しない
  ・退職を拒否しているのに執拗に呼び出し説得しない
(2)その他の注意事項
  ・退職勧奨に応じなかった場合は次のステップで「解雇」するのかしないのか、そこまで考えておくこと。
  ・説得は社員に「録音」されている可能性があることを念頭においておくこと

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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