06月
12
2012

【特集25】新しい年次有給休暇が付与されたとたんに全ての年次有給休暇を請求して退職願を出す社員

問題社員への対応25(新しい年次有給休暇が付与されたとたんに全ての年次有給休暇を請求して退職願を出す社員)


年次有給休暇は勤続6カ月が経過すると10日、さらに1年が経過すると11日というように1年単位で新しい休暇日数が付与されます。前年分の未使用日数は翌年に限り繰り越すことができることになりますので、前年に10日付与された社員が全く使用しない場合、翌年は当年付与分11日+前年繰越分の10日を合計した21日を使用することができるようになります。ここでは「付与」という言葉を便宜上使っていますが、経営者が付与する権利を持っているものではなく、勤続年数に応じて要件を満たす場合には労働基準法上「自動的に」発生する社員の権利ということを理解しておかなくてはなりません。
ところで、例えば当年分の11日を付与されたと同時に、前年分の未使用日数との合計日数をすべて連続して消化した後に退職日を設定するような年次有給休暇申請と退職願いを提出する社員がいた場合、この申請についてはすべて認める必要があるのでしょうか。
1.よくある経営者の主張
多くの経営者が、「新しく付与された年次有給休暇はその後1年間に取得する分として付与されているのではないか、したがってその後の在籍期間に応じて按分して付与日数を減じてよいのではないか」という主張をされます。その主張は正しいのでしょうか。答えは「ノー」です。
  年次有給休暇は、その付与された日数は、原則その後1年間(繰越を入れると2年間)
どの時点でも取得することが可能です。したがって、その後半年しか在籍しない社員は
2分の1しかとれない、3カ月しか在籍しない社員は12分の3しか取れないなどとい
う制限はまったくありません。
会社としては、「1年間で使う日数として付与されているのではないか。納得がいかな
い」という趣旨の発言をされたくもなるでしょうが、これは感情論にすぎません。法的には経営側には取得を制限する権限はなく、「時期変更権」が認められているに過ぎません。この時期変更権も退職日以後に時期変更することは現実にはできないため、退職日までの取得希望年次有給休暇は認めざるを得ないということになります。
 もちろん、年次有給休暇を取得することをもって「懲戒処分」に付すことも、年次有
給休暇の取得が正当な権利行使であればできないこととなります。
2.対応
  日ごろからの社員教育を徹底し、社員がそのような取得の仕方をしないように、社会
人としての常識を身につけさせておくことが大切です。
  また、そのようなとり方をするのは、多分に会社に対する腹いせ的な意味合いがあり
ますので、日ごろからの労務管理のあり方に問題がないか見直すことも必要です。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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