06月
12
2012

【特集26】退職願を提出した不正行為の疑いがある社員

問題社員への対応26(退職願を提出した不正行為の疑いがある社員)

不正行為の疑いが持たれている社員が退職届を提出してきました。期限は提出日から2週間後となっています。不正行為が確認されれば就業規則では懲戒解雇に該当するものとなります。一方で就業規則には退職届は退職日の1カ月前までに提出すること、会社の承認があるまでは業務の従事することがあわせて規定されています。この社員の退職願を拒否できるでしょうか。
1.原則
会社が拒否した場合この社員が退職を強行すると、社員は労働契約の一方的解約(民法627条)をしたこととなります。一方的解約の場合は、会社が退職届を受け付けない(不受理)としても、あるいは1カ月後でないと認めないということを伝えても、2週間が経過すれば退職の効力が生じます。(就業規則の1月という規定は訓示的な意味合いしかもたないことになります。)したがって、2週間の期間進行を中断させるような手段はないということになります。
2.対策
2週間以内に不正行為の実態を明らかにし、退職日より前に懲戒解雇を決定することが必要です。そのために正確かつ迅速な調査を行う必要があります。あわてて、拙速な調査のため誤った事実確認をしないように注意しなければなりません。
また、就業規則において懲罰委員会などの手続が定められている場合には、その手続を経ないで行った処分は、違法な手続と判断され無効とされますので注意してください。
3.退職金の取り扱い
懲戒解雇が間に合わずに退職が成立した場合は、退職金を支払わなければならないのでしょうか。原則として退職金の支払いは退職金規程の規定の仕方によります(以下の例参照)。したがって退職金規程の内容をしっかりと点検し、必要な場合は規定の改定を行うことが大切です。

(ケース1)「懲戒解雇の場合は退職金の一部又は全部を支給しない。」
  ⇒ 懲戒解雇できない場合は退職金を支給しなければなりません。

(ケース2)「懲戒解雇の場合又は懲戒解雇事由が存在する場合、退職金の一部又は全部を支給しない。」
  ⇒ 懲戒解雇できなくても懲戒解雇事由がある場合は、退職金の一部又は全部を支給しないことが可能となります。 

(ケース3)「退職金支給後に懲戒解雇事由が発覚した場合は、不当利得として退職金を返還しなければならない」
  ⇒ 退職金を支払った後でもこのような規定があれば不当利得返還請求が可能となります。規定がなければ取り戻すことができません。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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