06月
12
2012

【特集31】転勤や配転を拒否する社員

問題社員への対応31(転勤や配転を拒否する社員)

採用時には本社しかなく転勤は発生していなかったところに、事業を拡大するため他県に新しい事業所を設立し転勤が必要となり社員に転勤を命じたところ、「採用時の労働条件として提示された就業場所と違うので承諾できない。」と言ってきました。このような場合に転勤させることはできるでしょうか。
 

 1.配転命令の根拠

 会社が社員に対して転勤を命令する根拠は、労働契約にあります。就業規則に転勤に関する規定があれば「包括的合意」があると解され、会社はこれに基づき転勤を命ずることができます。一般的に「会社は業務の都合により転勤又は職場の変更等の異動を命じることがある」などと規定します。
  就業規則に上記のような転勤命令権の記載がない場合は社員の同意を得て転勤を実現することとなります。
 

2.労働契約の変更
 

 就業規則に規定がなく社員の個々の同意を得ていては業務に支障を来すことが考えられます。そのため就業規則の変更を行うことが必要となります。
 就業規則の変更は社員の同意が前提ですが、同意が得られない場合でも変更に「合理性」があれば会社が一方的に変更することも認められています。
 転勤命令権は、事業上の必要がありるもので一般的に合理性は認められると考えられます。
 

3.転勤命令の権利濫用
 

転勤命令権が認められてもその行使が権利濫用になる場合は、転勤命令は無効となります。
権利濫用の判断は、(1)業務上の必要性、(2)労働者の不利益の程度の勘案で決まります。
 裁判例では(1)については「余人をもって替えがたいほどの高度の必要性は不要である」とし、(2)については単身赴任を余儀なくされる場合であっても「通常甘受すべき程度」としています。この結果、転勤命令が無効となる例は特段の 事情がある場合に限られることとなっています。
 

 4.本件転勤の命令について

  就業規則に転勤の記載があれば命令の根拠はあることとなります。就業規則は将来の転勤の可能性を予定しており、「採用時の労働条件として提示された就業場所と違うので承諾できない。」という社員の主張は、原則として理由とならないと考えられます。
 しかし実務上では一方的な命令よりも社員の同意を得て行うことが適当です。社員に何か不利益となるような事情があるのか、転勤にかかる会社の支援制度をどう考えているか、など、当該社員としっかりと話し合い、納得してもらうことが大切です。
 
◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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