06月
12
2012

【特集9】失踪した社員

問題社員への対応(9)(失踪した社員)

 会社に何の連絡もなしに欠勤が続き、会社から自宅に電話をしても連絡がつかない場合、どう対応したらよいでしょうか。
1.突然失踪した社員を懲戒解雇できるか
  懲戒解雇は、会社の社員に対する労働契約を終了させる意思表示です。意思表示を直接伝えた時点で効力を生じることとなります。しかし、失踪し行方不明の場合は相手に直接伝えることができません。懲戒解雇通知の自宅への郵送や直接自宅を訪問してポストに入れるような方法では、相手が失踪し自宅に不在の場合には一般的に意思表示が到達したとはみなされません。
  民法第98条では、社員の所在を知ることができないときは、公示送達の方法による意思表示を規定しています。その場合は、簡易裁判所に申し立て、裁判所の掲示場に掲示され、官報および新聞に少なくとも1回掲載されることが必要となります。この手続を経れば、最後の掲載から2週間を経過したときに解雇の意思表示が到達したとみなされることになります。
2.解雇予告手当の支払い
  即時解雇するためには解雇予告手当の支払いが必要となります。解雇予告手当の支払は失踪者本人に対して支払いをしなければなりなせん。配偶者等の親族が受領することでは支払いをしたことにはなりません。解釈例規では次のような方法が必要とされています。(昭63.3.14 基発150号)
  (1)郵送等の手段により社員あてに発送を行い、この解雇予告手当が社員の生活の本拠 
   に到達したとき。なお、この場合、直接社員本人の受領すると否と、また社員の在 
   否には関係がない。
  (2)社員に解雇予告手当を支払う旨通知した場合については、その支払日を指定し、近日に本人不参のときはその指定日、また支払日を指定しないで本人不参のときは社員の通常出頭し得る日。
  給与の指定口座に振り込む方法について言及されていないため、この方法には疑問の余地がありますが、現実的には解雇予告手当を給与の指定口座に振り込むことで可能と考えます。
3.解雇予告手当を支払わない場合
解雇予告手当を支払わなかった場合は、どうなるでしょうか。最高裁判所の判例では、解雇予告手当の支払いをしないで解雇の通知をした場合、会社が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後30日の期間を経過したときに、解雇の効力が生じるとされています。(細谷服装事件 最高裁二小 昭35.3.11判決)
4.実務での対応
失踪者への懲戒解雇はこのように種々の問題が生じます。したがって、就業規則に「2週間以上無断欠勤が続いた場合は当然退職とする」と規定し、退職として取り扱うことができるようにしておくことが大切です。

◆ 北九州社会保険労務士 社会保険労務士法人九州人事マネジメント ◆

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