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労務ニュース《2023年8月号》

◆ 目 次 ◆

・2023年賃上げ、各機関の最終結果
・人事院、公務員の給与引き上げを勧告。月給とボーナスをいずれも引き上げるのは2年連続
・中央最低賃金審議会の小委員会が地域別最低賃金の目安額を提示。全国平均では時給1002円と1000円を超える
・福岡県最低賃金審議会は41円引上げを答申 ― 福岡県最低賃金額は941円へ ―
・厚生労働省、男性の育児休業取得率は17.13%と過去最高を記録
・厚生労働省、パワハラ防止措置に関して2258事業所を是正指導
・厚生労働省、長時間労働が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表
・【監督指導結果のポイント】(令和4年4月~令和5年3月)

◆ 詳 細 ◆

●2023年賃上げ、各機関の最終結果

①厚生労働省(8月4日公表):賃上げ額は1万1245円、賃上げ率3.60%
集計対象は、資本金10億円以上かつ従業員1000人以上の労働組合のある企業364社
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34190.html

②経団連(8月4日公表):賃上げ額は1万3362円、賃上げ率3.99%
額・率ともに約30年ぶりの高水準(賃上げ額は1992年の1万3391円、賃上げ率は1993年の3.86%とほぼ同水準)
集計対象は、原則として従業員500人以上、主要21業種で妥結を把握している190社のうち平均金額不明などの54社を除いた136社
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/054.pdf

③連合(7月5日公表):平均賃金方式の賃上げ額は1万560円、賃上げ率3.58%
賃上げ率が3%を超えたのは29年ぶりで、賃上げ額がベアと定昇を明確に区別できる3186組合で見ると、ベアは5983円で、引き上げ率は2.12%となり、2015年以降で最も高い
集計対象は、月例賃金改善(定昇維持含む)を要求した5613組合うち平均賃金方式で回答を引き出した5272組合
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/yokyu_kaito/kaito/press_no7.pdf?9121

④東京都(6月29日現在):賃上げ額は1万2642円、賃上げ率3.92%
集計対象は、都内の1000労働組合のうち、前年の妥結額や要求額が比較可能な328組合
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/youkyu-daketsu/index.html
(参考)2023年春季賃上げ要求・妥結状況調査 付帯調査結果
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/・・・

●人事院、公務員の給与引き上げを勧告。月給とボーナスをいずれも引き上げるのは2年連続

人事院は、8月7日、2023年度の行政職の国家公務員の給与について、月給とボーナスを引き上げるよう内閣と国会に勧告しました。
①初任給を引き上げ:高校卒約8%(1万2000円)、大学卒約6%(1万1000円)。高校卒・大学卒の初任給が1万円を超えて引き上がるのは1990年度以来33年ぶり
②ボーナス:年間4.50月分(0.1カ月分増、期末・勤勉手当をそれぞれ0.05月引き上げ)
③手当新設:テレワーク中心の働き方をする職員に対して、在宅勤務等手当
(月額3 000円)を新設(2024年4月1日導入)
④働き方関連:フレックスタイム制を活用して、週1日を限度に土日以外に休みが取れる「選択的週休3日制」(2025年4月1日施行)を可能とするほか、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル」の確保、職員の成長や組織のパフォーマンス向上につながる兼業の在り方を検討することとしています。
https://www.jinji.go.jp/kankoku/r5/r5_top.html

●中央最低賃金審議会の小委員会が地域別最低賃金の目安額を提示。全国平均では時給1002円と1000円を超える

7月28日、中央最低賃金審議会の小委員会は、2023年度の地域別最低賃金に関して、都道府県をA~Cの3グループに分けて、以下の引き上げ額の目安を提示した。
A:東京など6都府県 41円
B:京都など28道府県 40円
C:沖縄など13県 39円
全国平均では時給1002円となり、物価の高騰を受けて引き上げ額は41円の増額で、上昇率は4.3%と過去最高となった。
実際の引き上げ額は今後、この目安を基に各都道府県の審議会で議論して決めることになっており、10月ごろから適用される見通し。
目安どおりに改定されれば東京、神奈川で1100円を超え、埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫では1000円以上となる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001126634.pdf

●福岡県最低賃金審議会は41円引上げを答申 ― 福岡県最低賃金額は941円へ ―

福岡地方最低賃金審議会(会長 丸谷浩介 )は、8月10日、福岡労働局長(小野寺徳子 )に対し、福岡県最低賃金を41円引上げ、1時間941円に改正することが適当であるとの答申を行いました。福岡労働局では、この答申に基づいて速やかに所要の改正手続を進めていきます。また、下記付帯決議を併せて行っています。
(答申の要旨)
1 福岡県最低賃金を1時間941円とする。 ※ 中央最低賃金審議会の引上げ額の目安(Bランク40円)にプラス1円。
2 効力発生の日は、令和5年10月6日の見込みである。
3 付帯決議として、以下4点を付する。
(1) 中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、労務費分 を含む適正価格での取引実現に向けた取組を一層強力に推進すること。
(2) 中小企業・小規模事業者の収益力改善、事業承継等に対する支援を強 化するとともに、新事業転換等の再チャレンジ支援を拡充すること。
(3) 中小企業・小規模事業者の賃上げ実現に向けて、賃上げ税制や補助金 等における賃上げ企業の優遇、ものづくり補助金、事業再構築補助金等 を通じた生産性向上等への支援の一層の強化に取り組むこと。
(4) 生産性向上に向け、可能な限り多くの中小企業・小規模事業者が各種 の助成金を受給でき、取り組みを進められるように支援の充実を行うこ と。特に、業務改善助成金については、対象となる事業場を拡大すると ともに、最低賃金引き上げの影響を強く受ける小規模事業者が活用しや すくなるよう、より一層の実効性ある支援の拡充を行うこと。

●厚生労働省、男性の育児休業取得率は17.13%と過去最高を記録

厚生労働省では、「令和4年度雇用均等基本調査」の結果を公表した。令和4年度は、全国の企業と事業所を対象に管理職等に占める女性割合や育児休業制度の利用状況などを調査している。
①[企業調査]管理職等に占める女性の割合:部長相当職8.0%(前年度7.8%)、課長相当職11.6%(同10.7%)、係長相当職18.7%(同18.8%)となっている
②[事業所調査]育児休業取得者の割合:女性80.2%(前年度85.1%)、男性17.13%(同13.97%)と、男性では前年度よりも3.16ポイント上昇して、過去最高を記録
なお、政府は男性の育休取得率の目標を2025年までに50%、2030年までには85%に引き上げる目標を掲げている。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/07.pdf

●厚生労働省、パワハラ防止措置に関して2258事業所を是正指導

厚生労働省は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における法施行状況を公表した。雇用環境・均等部(室)では、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)、パートタイム・有期雇用労働法、育児・介護休業法について相談、是正指導、紛争解決の援助を行っている。
パワーハラスメントに関連する労働者や事業主から寄せられた相談件数は5万840件で、対前年度比 117.6%増と倍増した。これは2022年4月1日から中小企業に職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されたことが要因と考えられる。
雇用管理の実態把握を行った4899 事業所のうち、2258事業所で何らかの労働施策総合推進法違反が確認され、2546件の是正指導を実施した。
是正指導の内訳は、相談窓口の設置などパワーハラスメント防止措置に関する指導が1655件に上り、これは指導全体の65.0%を占める。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001115878.pdf

●厚生労働省、長時間労働が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表

厚生労働省は、令和4年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめ、公表しました。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。
対象となった33,218事業場のうち、14,147事業場(42.6%)で違法な時間外労働を確認し、是正・改善に向けた指導が行われました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、5,247事業場(違法な時間外労働があったもののうち37.1%)でした。
厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。

◆ PICKUP ◆

【監督指導結果のポイント】(令和4年4月~令和5年3月)

(1)監督指導の実施事業場:33,218事業場
(2)主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
 1 違法な時間外労働があったもの:14,147事業場(42.6%)
  うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
  月80時間を超えるもの:5,247事業場(37.1%)
  うち、月100時間を超えるもの:3,320事業場(23.5%)
  うち、月150時間を超えるもの:752事業場( 5.3%)
  うち、月200時間を超えるもの:168事業場( 1.2%)
 2 賃金不払残業があったもの:3,006事業場(9.0%)
 3 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:8,852事業場(26.6%)
(3)主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
 1 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:13,296事業場(40.0%)
 2 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:6,069事業場(18.3%)





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