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労務ニュース《2023年10月号》

◆ 目 次 ◆

・最低賃金「30年代半ば1,500円」 首相が目標表明(9/1)
・2023年版「過労死白書」の原案判明(9/13)
・厚生労働省、法改正を視野に仕事と育児の両立支援に向けた議論始まる
・介護事業所の人手不足感が高まる(9/20)
・厚生労働省、「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表
・厚生労働省、「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施

◆ 詳 細 ◆

●最低賃金「30年代半ば1,500円」 首相が目標表明(9/1)

岸田文雄首相は31日、最低賃金(時給)について、「2030年代半ばまでに全国平均が
1,500円となることを目指す」と表明した。政府の「新しい資本主義実現会議」で言明。
内需主導の経済成長を実現していくためには賃金および最低賃金の安定的な引上げが必要として、年内にも中小企業などが賃上げの原資を確保しやすくなるよう、価格転嫁を進めるための詳細な指針を策定すると述べた。

●2023年版「過労死白書」の原案判明(9/13)

政府の2023年版「過労死等防止対策白書」(10月閣議決定見込み)の原案が判明し、週労働時間60時間以上の雇用者は5.1%(2022年)で10年前より4.0ポイント減となった。
年次有給休暇取得率は58.3%(2021年)で、7年連続の上昇。就業者の睡眠時間とうつ病などの関係の初めての調査・分析も行われ、理想と実際の睡眠時間の差が広がるにつれ、うつ傾向・不安やうつ病・不安障害の疑いがある人が増加傾向にあることが明らかになった。

●厚生労働省、法改正を視野に仕事と育児の両立支援に向けた議論始まる

9月15日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会では、育児・介護休業法等の改正に向けた議論を開始した。
育児期の柔軟な働き方を実現して育児と仕事の両立を支援するために、以下の施策テーマが挙がっている。
    子どもが3歳未満の場合、テレワーク導入を企業の努力義務とする
②3歳から小学校入学前までの子がいる従業員に対し、短時間勤務など複数の勤務形態の用意を企業に義務づける
    上記のほか、残業免除期間の延長、子の看護休暇を取得できる期間の延長など
厚生労働省では、審議会での議論を踏まえて年内に改正案を取りまとめ、2024年の通常国会への法案提出を目指す。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35285.html

●介護事業所の人手不足感が高まる(9/20)

介護労働安定センターの調査で、人手不足感のある介護事業所が66.3%(前年比3.3ポイント増)となった。職種別では、訪問介護員83.5%、介護職員69.3%、看護職員47.2%などとなっている。訪問介護員および介護職員の採用率は16.2%(2021年度比1%増)離職率は14.4%(同0.1%増)と、ほぼ横ばいとなった。

●厚生労働省、「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表

9月27日に厚生労働省から「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表された。
    106万円の壁への対応:キャリアアップ助成金を新設し、手取り収入を減らさない取り組みを実施する事業主に対して労働者1人当たり最大50万円を支援する。また、事業主が手取り収入を減らさないように支給した手当(社会保険適用促進手当)については、本人負担分の保険料相当額を上限として被保険者の標準報酬の算定から除外することで負担を軽減する
    130万円の壁への対応:収入が一時的に上がって130万円以上になっても、事業主の証明によって、原則連続2回まで引き続き扶養から外れないようにする
③収入要件のある配偶者手当が、就業調整の要因となっていることから、配偶者手当を廃止・縮小し、基本給や子どもへの手当を増額するといった配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順をフローチャートで示すなど、分かりやすい資料を作成・公表する
    設備投資等により事業場内最低賃金の引き上げに取り組む中小企業等に対する助成金(業務改善助成金)の活用も促進する
なお、本パッケージは本年10月から適用を開始し、2025年に予定される年金制度改正までの当面の対応という位置づけとなる。
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001150703.pdf
(参考)年収の壁・支援強化パッケージ概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001150837.pdf

●厚生労働省、「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施

厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月1~30日まで実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取り組みを推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取り組みを集中的に実施する。
8月3日に公表された「令和4年度の監督指導結果」によると、対象となった 3万3218事業場のうち、1万4147 事業場(42.6%)で違法な時間外労働を確認し、是正・改善に向けた指導を行った。なお、このうち実際に1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働があった事業場は5247事業場(違法な時間外労働があったもののうち37.1%)だった。
厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取り組みを積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
(参考)令和4年度の監督指導結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34504.html



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